クレジットカードのキャッシングは、急にお金が必要になったときにATMなどですぐにお金が借りられるサービスです。
手数料がかかる点には注意が必要ですが、少額の借り入れをしたいときに大変便利です。海外でも利用できるため、海外旅行の際にも役立ちます。
そこで、クレジットカードのキャッシングについて解説します。
キャッシング枠をつけることのメリット・デメリットやカードローンとの違いについても説明しますので、参考にしてくださいね。
- クレジットカードに付帯したお金を借りられるサービス
- 24時間365日、コンビニやATMですぐにお金が引き出せる
- 海外でも現地通貨がすぐに引き出せる
- キャッシングを利用すると手数料がかかる
クレジットカードのキャッシング枠とは?
キャッシングとは、クレジットカードに付帯している借り入れ機能のことです。
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠があります。クレジットカードを利用して買い物をするのがショッピング枠、お金を借りられるのがキャッシング枠です。
キャッシングには利用上限額があり、その範囲内でお金を借りられます。
お金が必要になったときに全国のコンビニやATMで現金を引き出せるので、計画的に利用すればとても便利な機能です。
なお、キャッシングを利用すると必ず手数料が発生します。手数料はクレジットカードにより異なるのでよく確認しましょう。
返済方法は、基本的に一括払いかリボ払いです。
キャッシングの手数料は返済までの日数が長くなるほど高くなるため、お金を準備できるなら一括返済を選びましょう。
リボ払いは、毎月一定額を返済する方法です。
借入額にかかわらず一定額を返済すればよいため助かりますが、返済期間が長くなり高い手数料が発生するため、リボ払いには慎重な検討が必要です。
キャッシング枠をつけるメリット
クレジットカードで利用できるキャッシングには、以下のようなメリットがあります。
- コンビニやATMでいつでもお金が借りられる
- 海外でもお金が借りられる
- 限度額の範囲内で何度でも借りられる
- 新たに審査やカード発行の必要がない
- クレジットカードの他の機能も使える
以下で詳しく解説します。
コンビニやATMでいつでもお金が借りられる
クレジットカードに付帯されているキャッシングの大きなメリットは、急にお金が必要になったときに、コンビニやATMでいつでもお金が借りられることです。
スマホやパソコンなどを使ってインターネットから申し込み、口座に振り込んでもらう方法もあります。
24時間365日、現金を引き出すのと同じような感覚で利用することが可能です。
結婚式が重なったときや突然のケガ、自動車の修理など、急な出費が続くことがありますよね。そんなときにクレジットカードのキャッシングは心強い味方になってくれます。
海外でもお金が借りられる
日本だけでなく、海外でも同じようにクレジットカードを利用してお金を借りることができます。日本円を外貨に両替する必要がなく、ATMなどで気軽に現地通貨を引き出すことが可能です。
ATMは空港や銀行、コンビニなど多くの場所にあるので、世界中で利用できます。出発前に対応したATMについて確認しておきましょう。
急にお金が必要になったときに心強いだけでなく、たくさんの現金を持ち歩く必要がないためセキュリティ面でも安心ですよね。
必要な分だけ手軽に引き出すことができるので、少額の現金が必要なときにも助かります。
海外でキャッシングを利用する際にはATM手数料や利息がかかりますが、両替手数料より安くなる場合もありますよ。
あらかじめ、ATM手数料や利息について確認しておきましょう。
限度額の範囲内で何度でも借りられる
クレジットカードのキャッシングサービスは、利用限度額の範囲内であれば何度でも借りることができます。
その都度手続きが必要ないため、スムーズな借り入れが可能です。
家電を購入するのに数万円だけ借りたい、結婚式のご祝儀が足りないなど、少額の借り入れをしたいときにも気軽に利用できるので助かります。
新たに審査やカード発行の必要がない
クレジットカードを申し込む際にキャッシングの枠を希望すれば、その際に審査が行われます。審査に通ればカードが届き、別途手続きなどは必要ありません。
また、クレジットカードに付帯している機能なので、クレジットカードとは別に新たにカードを発行する必要もありません。
カードを増やしたくない方にとってもありがたいですよね。
クレジットカードを発行したあとにキャッシングが必要になれば、追加で申し込みすることもできます。
クレジットカードの他の機能も使える
クレジットカードに付帯しているキャッシングのメリットとして、キャッシング以外の機能が利用できる点もあげられます。
通常のショッピング機能も利用できるのはもちろん、海外・国内旅行傷害保険やショッピング補償といった付帯保険、優待などの特典といったさまざまな付帯サービスも利用可能です。
サービス内容はカードによって異なるため、よく検討してくださいね。
キャッシング枠をつけるデメリット
急にお金が必要になったときに心強いキャッシングですが、以下のようなデメリットもあります。
デメリットについても理解したうえで計画的に利用することが大切です。
- 借金をしている意識が薄れやすい
- ショッピング機能より金利が高い
- ショッピング枠の限度額に影響する
- ショッピング枠とは異なる基準で審査が必要
- ポイントが付与されない
- 不正利用時に補償されない場合がある
借金をしている意識が薄れやすい
クレジットカードに付帯しているキャッシングは、気軽にお金を借りられるのがメリットですが、それは借金をしている感覚が薄れることにもつながります。
限度額の範囲内で何度でも借り入れできるため、必要以上に借りてしまう可能性がある点はデメリットです。
キャッシングには手数料がかかるため、お金を借りているという感覚が薄れたまま借入額が大きくなっていくと返済が困難になります。
延滞などの履歴は信用情報に保存されるため、他のローンやカードの審査などにも影響します。
手軽に借りられるのは便利ではありますが、返済計画をきちんと立てて借り入れるようにしましょう。
ショッピング機能より金利が高い
クレジットカードでキャッシング機能を利用すると、ショッピング機能とは違い必ず手数料が発生します。
キャッシングの手数料の例をみてみましょう。
- エポスカード:実質年率18.0%
- イオンカード:実質年率7.8~18.0%
- 楽天カード:実質年率18.0%
- オリコカード:実質年率15.0~18.0%
ショッピング機能は一括払いで支払えば手数料はかかりませんが、キャッシング機能は一括返済でも手数料がかかるため注意しましょう。
実質年率は1年間借り入れた場合の利率のことで、返済までの日数が長くなるほど手数料も高くなります。
画像引用元:はじめての方へ キャッシングサービスのご案内|楽天カード
例えば楽天カードのキャッシングで1万円借り入れ、30日後に返済したとすると、10,000×18.0%×30日÷365日=147円が手数料となります。
ショッピング枠の限度額に影響する
画像引用元:今さら聞けない!キャッシングってなに?|なるほど豆知識|クレジットカード・カードローンのオリコ
クレジットカードのキャッシング枠を利用すると、ショッピング枠が減ってしまうため注意が必要です。
クレジットカードにおいてショッピング枠とキャッシング枠は別々に設けられていますが、実はキャッシング枠はショッピング枠の中に含まれています。
ショッピング枠が30万円、キャッシング枠が10万円の場合について考えてみましょう。
キャッシングを5万円利用すると、ショッピング枠は25万円に減ります。
キャッシング枠に余裕があるからといって気軽に借り入れるのではなく、ショッピング枠が減ることも踏まえたうえで計画的に利用しましょう。
ショッピング枠とは異なる基準で審査が必要
クレジットカードに申し込む際、クレジットカード会社独自の基準により審査が行われます。
キャッシング枠を設定する場合、「ショッピング枠」「キャッシング枠」それぞれについて審査が必要です。裏を返せば、どちらかが基準を満たさなければクレジットカードは発行されません。
ショッピング枠は、以下の計算式で求められる支払可能見込額によって決まります。
他方、キャッシング枠は貸金業法の「総量規制」という規定に則って審査が行われます。総量規制とは、他社も含めたキャッシングの借入れ総額が年収の3分の1を超えてはいけないという決まりです。
いわば多額の借入れで返済に困窮する人を減らすための規制です。
総量規制の上限を超えていた場合、クレジットカードそのものを発行することができません。
ポイントが付与されない
クレジットカードの多くはショッピング機能を利用することでポイントが付与されますが、キャッシングを利用してもポイントの付与はありません。
クレジットカードを申し込む際にキャッシング枠を設定するとポイントがもらえる、といったキャンペーンを行っているカード会社はあります。
ただ、キャッシングには手数料がかかるため、ポイントがもらえるからといって安易に申し込むのではなく、必要かどうかをきちんと検討しましょう。
不正利用時に補償されない場合がある
クレジットカードの紛失・盗難などによりキャッシングを不正利用されてしまった場合、原則として補償の対象外となります。
キャッシングは暗証番号を入力することで利用できるからです。
本人しか知らないはずの暗証番号を使って不正利用された場合、暗証番号の管理ができていなかったと考えられ、補償されない可能性が高いです。
不正利用時の補償が充実しているクレジットカードもありますが、キャッシングについては対象外となっている場合も多いため、きちんと確認しておきましょう。
また、容易に憶測できる暗証番号は避けるといった対策も大切です。
キャッシングとカードローンの違いは?
クレジットカードのキャッシングとカードローンの違いがいまいち分からないという方も多いのではないでしょうか。
クレジットカードに付帯しているキャッシングとカードローンの主な違いは以下のとおりです。
それぞれの相違点について、もう少し詳しくみていきましょう。
サービス内容の違い
クレジットカードに付帯しているキャッシングは、クレジットカードでお金を借り入れできるサービスです。
クレジットカードにキャッシング枠を設定することで、その範囲内でお金を借りられます。
一方、カードローンは借り入れ専用として作られたサービスのことです。クレジットカードのキャッシングとは違い、専用のカードを使ってお金を借り入れます。
クレジットカード会社や銀行、消費者金融会社などが提供しています。
金利の違い
クレジットカードのキャッシングは、カードローンと比べて金利が高い傾向にあります。
例として、楽天銀行が提供する「楽天銀行スーパーローン(カードローン)」と楽天カードのキャッシングの金利を比較してみましょう。
- 楽天銀行スーパーローン:年1.9%~14.5%
- 楽天カードのキャッシング:年18.0%
このように、カードローンの方が金利が低く設定されています。カードローンは金利が幅広く設定されており、利用限度額が高くなるほど金利は低くなります。
審査により最大金利が適用されることも多いため、最大金利を確認しておくのが賢明です。
借入上限額の違い
借入上限額は、一般的にカードローンの方が高く設定されています。
楽天銀行スーパーローン(カードローン)と楽天カードのキャッシングの利用上限額は以下のとおりです。
- 楽天銀行スーパーローン:10~800万円
- 楽天カードのキャッシング:5~100万円
会社により異なりますが、カードローンは500万円〜800万円が上限となっていることが多いです。
そのため、ある程度まとまった金額を借り入れたい場合にはカードローンの方が適していると言えます。
一方で、クレジットカードのキャッシングの上限はカードローンと比べて低めに設定されています。
また、先述したとおりクジレットカードのキャッシング枠はショッピング枠に含まれているため、ショッピング枠を超えてキャッシングを利用することはできません。
そのため、クレジットカードのキャッシングは、一括で返せる程度の少額の借り入れをしたい場合におすすめです。
返済方法の違い
画像引用元:ご返済方法|クレジットカードはエポスカード
クレジットカードのキャッシングの返済方法は、一括払い・リボ払いから選べる場合が多く、カードローンの返済方法は基本的にリボ払いです。
楽天スーパーローンと楽天カードのキャッシングの返済方法は以下のとおりです。
- 楽天スーパーローン:残高スライドリボルビング返済・元利込定額返済
- 楽天カードのキャッシング:一括払い・リボ払いから選択
残高スライドリボルビング返済・元利込定額返済はいずれもリボ払いの1つで、多くのカードローンではこのどちらかの返済方法が使われています。
なお、残高スライドリボルビング返済とは利用残高に応じた一定の金額を返済する方式のことです。利用残高により返済額が変動します。
一方、元利込定額返済は毎月一定額を返済する方式です。
クレジットカード・カードローンによって返済方法は異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
キャッシングの使い方
画像引用元:エポスのキャッシング|クレジットカードはエポスカード
キャッシングを利用したいものの利用方法が分からないという方も多いのではないでしょうか。
ATMで現金を引き出すような感覚で簡単に借り入れることができます。ATMで利用する場合の手順を確認しておきましょう。
- 「お引き出し」ボタンを選択する
- クレジットカードを挿入する
- 4桁の暗証番号を入力する
- 「キャッシング」ボタンを選択する
- 金額・返済方法を入力する
- お金を受け取る
基本的な操作は上記のとおりです。ATMなどにより少し異なりますが、基本的には画面の案内に従えば簡単に引き出すことができます。
なお、対応しているATMはクレジットカードによって異なります。対応しているATMやATMを利用する際の手数料についても確認しておきましょう。
また、クレジットカードによっては口座に振り込んでもらう利用方法もあります。
カード会社により異なりますが、インターネットまたは電話にて申し込みが可能です。
インターネットの場合、会員専用ページにログインのうえ申し込み手続きをすると、口座に直接振り込まれます。
電話の場合、音声に従ってカード番号・暗証番号・借入金額などを入力することで口座に振り込まれます。
時間や場所を選ばずスマホで簡単に手続きできるのはありがたいですよね。振込手数料がかからない場合、ATMなどよりお得に利用できることもあります。
キャッシングの利用は計画的に
クレジットカードのキャッシングについて、改めて確認しましょう。
- クレジットカードに付帯したお金を借りられるサービス
- 24時間365日、コンビニやATMですぐにお金が引き出せる
- 海外でも現地通貨がすぐに引き出せる
- キャッシングを利用すると手数料がかかる
クレジットカードに付帯したお金を借りられる機能がキャッシングです。
キャッシング枠を設定しておけば、24時間365日、お金が必要になったときにATMなどで気軽に現金を引き出せます。
海外のATMなどでも現地通貨を引き出せるためたくさんの現金を持ち歩く必要がなく、海外旅行の際の心強い味方です。
キャッシングを利用すると手数料が発生し、返済期間が長くなるほど利息は高くなってしまいます。
借りすぎることのないよう返済計画をきちんと立てたうえで、キャッシングをうまく利用しましょう。